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美術クイズ|日本美術・西洋美術の作品鑑賞と技法 第1集

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問題 1

葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』では、前景の波が画面を覆うほど大きく描かれ、富士山は波頭の内側に小さな三角形として見える。この大小関係が生む効果として最も適切なものはどれか。

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前景を大きく、遠景を小さく示す遠近の操作により、波が見る者に迫る感覚と、遠くに安定して見える富士山との対比が強まる。富士山の小ささは印刷上の欠落ではなく、北斎が構図の中で意図的に作った大小関係である。

問題 2

『源氏物語絵巻』には、建物の屋根や天井を取り払ったように室内を斜め上から描く「吹抜屋台」が用いられている。物語画でこの表現を使う主な利点はどれか。

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吹抜屋台は屋根などを省いて室内を見渡せるようにするため、人物同士の位置、距離、仕切りといった物語上の関係を一画面に示しやすい。建築施工図でも西洋の一点透視図法でもなく、人物を描かずに済ませる技法でもない。

問題 3

尾形光琳の『紅白梅図屏風』を調べると、樹幹には墨や色のにじみを生かす「たらし込み」が見られた。また科学調査では、金地から金箔が、現在黒く見える水流部から銀と硫化銀が確認された。これらの情報を踏まえた鑑賞として最も適切なものはどれか。

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作品理解には、たらし込みや左右対照の構図という造形的観察と、金箔、銀、硫化銀という材料分析の両方が役立つ。現在の黒い水流を黒色顔料だけと断定したり、現在の見え方が制作当初と全く同じだと決めたりすることはできない。

問題 4

江戸時代の多色摺り浮世絵で、輪郭に対して赤や青の色面が少しずれて印刷された。絵師・彫師・摺師の分業を前提にすると、色版を紙上で正確に重ねる作業を直接担当するのは誰か。

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多色摺りでは色ごとの版木を用い、摺師が見当を合わせて紙へ順に摺り重ねるため、色面の位置合わせに直接関わるのは摺師である。絵師は図柄を構想し、彫師は版木を彫るが、設問のずれが生じる工程は実際の摺り重ねである。

問題 5

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』では、壁や天井を表す建築線がキリストの頭部付近に収束する。この構成がもつ効果の組合せとして最も適切なものはどれか。

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透視図法の線が一つの消失点へ収束すると建築空間に奥行きが生まれ、その消失点をキリストの頭部に置くことで視線も中心人物へ集まる。画面を平面化したり中心人物を端へ移したりする効果ではない。

問題 6

ある19世紀の絵画では、短く途切れた筆触、混ぜ切らずに並べた明るい色、黒一色ではなく色彩で表した影が用いられている。この技法のねらいとして、印象派の特徴に最も合うものはどれか。

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短い筆触、混ぜ切らない色、色彩による影は、変化する光や大気の印象を画面にとどめるために印象派の多くが用いた方法である。輪郭や筆跡を完全に隠し、固定した形だけを示す仕上げとは方向が異なる。

問題 7

キュビスムの静物画で、正面から見たコップの縁と横から見た取っ手のような形が、分割された幾何学的な面として同じ画面に組み合わされている。この表現が問い直したものはどれか。

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キュビスムは対象を幾何学的な面へ分解し、複数または対照的な視点を一画面に再構成した。これにより、一つの固定視点から伝統的遠近法で自然を再現するという前提を問い直したのであり、主題や支持体を一律に制限する運動ではない。

問題 8

ゴッホの『星月夜』について、着想には療養院の窓から見た明け方の空が含まれる一方、画中の村は窓から見えず、教会は故郷オランダの建築を思わせ、天体の形も変更されていることが分かっている。この資料から導ける最も妥当な見方はどれか。

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観察した空や明けの明星を手掛かりにしながら、見えない村、故郷を思わせる教会、変更された空を組み合わせているため、観察と記憶・想像・感情の統合と見るのが妥当である。資料は完全な現場記録とも、現実と無関係な空想とも述べていない。

問題 9

美術館が、彩色された紙作品を一年中、強い照明の下で常設したいと希望している。紙や色材が光で損傷し得ることを踏まえた保存上の対応として最も適切なものはどれか。

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紙作品は光を含む環境要因で劣化し得るため、媒体や状態を確認し、照度と展示期間を抑え、展示休止中の適切な保管を組み合わせる。必要条件は作品ごとに異なるので、一律の常設や水洗いではなく保存担当者による個別判断が必要である。

問題 10

基本的な蝋型鋳造で、蝋の原型を粘土などで覆って加熱したところ、蝋が流れ出て型の内部に空所ができた。次に行う工程として正しいものはどれか。

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蝋型鋳造では、加熱で蝋を除いた後、その蝋が占めていた空所へ溶融金属を注ぐ。金属が冷えて固まってから外型を壊すなどして像を取り出す。蝋は形を金属へ移すための原型であり、そのまま完成品として残すものではない。