美術クイズ|美術史・制作技法・作品保存 第2集
問題 1
発掘調査で、盾を表した人物埴輪が古墳の中心部ではなく墳丘の縁から見つかり、多くが古墳を背に外側を向いていた。この出土状況から考えられる役割として最も適切なものはどれか。
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盾持人埴輪が墳丘の縁で外側を向くという位置と方向は、墓域を外から守る役割を考える根拠になる。形だけでなく出土状況を合わせて判断するのが考古資料の基本であり、墓室内の容器や測量具だったことを示す配置ではない。
問題 2
木造仏像の内部を調査すると、頭部や体幹が一つの木から連続して彫り出されておらず、複数の木材を組み合わせて像の主要部が作られていた。この構造に当てはまる技法はどれか。
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寄木造は複数の木材を組み合わせて木彫像を作る技法である。像の主要部を一材から彫り出す一木造とは構造が異なる。木心乾漆造は木の芯に木粉と漆などを重ねる技法、塑造は粘土を盛って形を作る技法であり、設問の複数材による木彫構造には当てはまらない。
問題 3
雪舟の『秋冬山水図』の秋景では、景物が画面下半分に集まり上部が広く空けられている。冬景では切り立つ崖が大きく、建物は小さく表される。こうした構成の働きを説明したものとして最も適切なのはどれか。
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秋景の広い上部空間は秋空の広がりを感じさせ、冬景の大きな崖と小さな建物の対比は冬の自然の厳しさを強める。描かない空間も構成要素であり、未完成の印ではない。また、一定縮尺で土地を記録する地図でもない。
問題 4
中世ゴシック大聖堂のステンドグラスには、聖書や聖人伝の場面が色ガラスで構成され、そこを通った光が堂内を彩った。この二つの特徴が礼拝空間にもたらした働きとして最も適切なものはどれか。
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ゴシック大聖堂のステンドグラスは、宗教物語を図像で伝えるだけでなく、色づいた光によって天上世界を思わせる空間経験を作った。採光を完全に止める設備でも、建築荷重をガラスだけで支える構造体でもない。
問題 5
デュシャンは、大量生産された日用品を選び、題名を付け、美術作品として展示する「レディメイド」を制作した。この行為が最も直接的に問い直した考えはどれか。
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レディメイドでは、既製品を選択し、命名して提示する芸術家の判断が作品成立の中心になる。そのため、手作業による唯一の美しい物の制作だけを芸術家の役割とする前提が揺さぶられた。既製品なら自動的に作品になるという意味ではない。
問題 6
モンドリアンの『ブロードウェイ・ブギウギ』では、以前の作品に見られた均一な黒い帯が使われず、水平・垂直の線が赤、黄、青、白などの小さな区画へ分節されている。この変化が生む効果として最も適切なものはどれか。
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小さな色区画が交差部から交差部へ反復することで、画面には光学的な振動と動的なリズムが生まれる。MoMAはこれをニューヨークの交通やブギウギの音楽と結びつけている。写実的な都市地図や人物物語ではない。
問題 7
真のフレスコ技法で大きな壁画を数日かけて制作している。翌日の作業として正しいものはどれか。
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真のフレスコでは、一日に描ける範囲ごとに湿った仕上げ漆喰を用意し、水で溶いた顔料を塗る。漆喰が乾く過程で顔料が定着するため、作業範囲を日ごとに分ける。乾いた壁へ油絵具を塗る工程とは異なる。
問題 8
卵黄を媒材として顔料を練る卵テンペラで、滑らかな陰影を作りたい。この絵具が速く乾き、湿ったままの混色が難しいことを踏まえた方法として最も適切なのはどれか。
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卵テンペラは卵黄を顔料の媒材として用い、速乾性が高く、ぬれた絵具同士を長時間ぼかすのには向かない。そのため、薄い塗りや細かな筆触を重ねて明暗や色調を作る方法が適する。卵黄自体が色の粉なのではない。
問題 9
抽象画を見た二人が話している。Aは「赤い斜線が画面中央で三本交差している」と述べ、Bは「その交差は緊張感を表している」と述べた。根拠を明確にしながら鑑賞を深める進め方として最も適切なものはどれか。
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Aは画面で確認できる線と配置の記述、Bはそこへ意味を与える解釈である。両者を区別した上で、解釈を支える造形上の根拠を検討すれば、異なる読みも比較できる。解釈を作者の心理の証明と決めつけることはできない。
問題 10
美術館が植物繊維で編まれた籠を新たに受け入れたところ、梱包内に虫の抜け殻らしいものが見つかった。ほかの収蔵品への被害を防ぎつつ、籠にも不必要な処置を避ける初動として最も適切なものはどれか。
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統合的害虫管理では、虫害の疑いがある新規受入品をまず隔離し、活動の有無と害虫を確認して、資料の材質に適した処置を選ぶ。疑いを無視して既存資料へ接触させたり、材質を調べず一律に薬剤散布したりする対応は、被害や資料損傷を広げ得る。