教材一覧
日本語

敬語・言葉遣い問題|敬意の向き・所有物・第三者の行為 応用 第5集

1 / 100.0s

問題 1

受付担当者が初めて来訪した顧客に「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」と尋ねた。この「お名前」が尊敬語として立てている人物は誰か。

解説を見る

「お名前」は、名前の所有者である顧客を立てる尊敬語である。尊敬語は人物の動作だけでなく、「先生のお名前」のように所有物を通じてその所有者を立てたり、「お忙しい」のように状態にある人物を立てたりできる。ものを上品に述べる美化語とは、特定の所有者を立てる働きがあるかどうかで区別する。

問題 2

「先生からのお手紙を読みました」と「先生へのお手紙を書きました」にある二つの「お手紙」の分類を、順に正しく示したものはどれか。

解説を見る

「先生からのお手紙」は、手紙の差出人である先生を立てるため尊敬語である。「先生へのお手紙」は、自分側から先生へ向かう手紙について、宛先の先生を立てるため謙譲語Iである。同じ「お手紙」という形でも、誰から誰へ向かうものかによって敬語の働きが変わる。

問題 3

会場で来賓が重そうなかばんを持っている。係員が来賓のために運ぶことを申し出る表現として最も適切なものはどれか。

解説を見る

「私がお持ちします」は、係員が来賓のかばんを来賓のために持つ行為について、受益者である来賓を立てる謙譲語Iである。謙譲語Iの「向かう先」は物理的な移動先だけではなく、行為が及ぶ相手も含む。「お持ちになります」は来賓自身の動作を立てる尊敬語なので、主語を「私」にすると敬意の向きが合わない。

問題 4

学生が恩師本人に「先日、先生から辞書をお借りしました」と述べた。「お借りしました」が先生を立てる仕組みの説明として最も適切なものはどれか。

解説を見る

辞書は先生から学生へ移動するので、先生は物理的には出どころである。しかし「借りる」という行為をする側から見れば、その働き掛けの向かう先は先生だと捉えられる。そのため「先生からお借りする」は、先生を立てる謙譲語Iとして成立する。助詞「から」だけで敬意の向きを判断することはできない。

問題 5

保護者が子供の担任本人に、翌日の訪問予定を伝える。自分側の人物である子供の行為から担任を立てる表現はどれか。

解説を見る

「息子が先生のところへ伺います」が適切である。謙譲語Iは話し手本人だけでなく、家族など自分側の人物の行為にも一般的に使える。「伺う」によって、訪問の向かう先である担任を立てている。「いらっしゃる」「お越しになる」は行為者を立てる尊敬語なので、自分側の息子に用いると意図と合わない。

問題 6

田中さんと話し手は、共に佐藤先生の指導を受けた同級生である。話し手が別の同級生に「田中さんが佐藤先生のところに伺ったそうです」と述べた。この「伺った」の説明として最も適切なものはどれか。

解説を見る

謙譲語Iは通常、自分側から相手側や第三者へ向かう行為に使うが、第三者の行為に使える場合もある。ここでは、訪問先の佐藤先生が立てるべき人物であり、同じ門下の同級生である田中さんを先生より立てなくても失礼にならない。二つの条件がそろうため、「伺った」で佐藤先生を立てられる。

問題 7

担当者が顧客に「明日は入口でお待ちいたします」と伝えた。「お待ちいたします」に含まれる敬語の働きとして最も適切なものはどれか。

解説を見る

「お待ちいたす」は、謙譲語Iの「お待ちする」の「する」を謙譲語IIの「いたす」に替えた形である。「お待ちする」が待つ行為の向かう先である顧客を立て、「いたす」が話や文章の相手へ丁重に述べる。したがって、謙譲語Iと謙譲語IIの両方の性質を併せ持つ。

問題 8

取引先への説明で「小社では、この製品を国内で製造しております」と述べた。この「小社」の分類と働きはどれか。

解説を見る

「小社」は、自分側の会社を聞き手に対して改まって述べる謙譲語IIの名詞である。謙譲語IIには「参る」「申す」などの動詞だけでなく、「小社」「拙著」のような名詞もある。行為の向かう先を立てる謙譲語Iではなく、自社を尊敬語で高める表現でもない。

問題 9

式典の司会者が来賓について「山田先生は大変な努力家だ」と紹介する。「努力家だ」に相当する内容を尊敬語にした表現はどれか。

解説を見る

「名詞+だ」に相当する内容で、その名詞に該当する人物を立てるには「名詞+でいらっしゃる」とするため、「努力家でいらっしゃいます」が適切である。「努力家でございます」は聞き手に丁寧に述べる形ではあるが、来賓本人を立てる尊敬語にはなっていない。尊敬語は動作だけでなく、人物の性質や状態にも使える。

問題 10

次のうち、立てるべき行為の向かう先があるため、謙譲語Iの「お(ご)〜する」が原則どおり成立しているものはどれか。

解説を見る

「届ける」には届け先となる人物があり、「顧客へ資料をお届けする」は、その向かう先である顧客を立てる謙譲語Iとして成立する。「食べる」「乗車する」「起きる」には、この文脈で立てるべき行為の向かう先がないため、自分の動作だからという理由だけで「お食べする」「御乗車する」「お起きする」とはできない。